|
2011年8月23日
●更新料裁判「更新料有効」判決確定も
消えゆく賃貸住宅の更新料 !?
賃貸住宅の契約更新時に支払う「更新料」を定めた契約は有効か無効かが争われた訴訟で、最高裁は「高額すぎるなど特別な事情がない限り有効」との判断を示した。その上で、更新料の返還を求めた借り手の請求を棄却した。
今回の訴訟では京都府や滋賀県の3人の賃借人が提訴し、高裁判決では「無効」2件、「有効」1件と判断が割れていたが、今回の最高裁判決で「更新料は有効」との司法判断が確定した。
判決前の最大の注目点は、仮に最高裁で無効と判断が出た場合、「消費者金融の過払い金問題のように、過去の支払った更新料の返還請求が殺到するのか」「もしオーナーが変わっていた場合、返還義務は前のオーナーにあるのか、現在のオーナーにあるのか」という点。しかし、判決が有効と出たためそうした懸念は解消された。
一方、有効と判断されたことで貸し主による便乗値上げの可能性を指摘する声が出てきた。判決が出た後の会見で、借り主側の弁護士は「更新料を増額したり、新たに更新料の支払いを求める貸主が増える恐れがある」と訴えた。
しかし、今や空前の借手市場!よほどの人気物件で無い限り、更新料の便乗値上げができる環境ではない。逆に更新料は廃止される方向にあるし、大半の大家もいずれは廃止されると覚悟しているようだ。
2008年の住宅土地統計調査では、全国の賃貸住宅空室率は過去最高の18.7%。つまり5部屋に1部屋が空室の状態。その後も供給は増えるばかりで家賃も下落傾向が止まらない。
つまり、賃貸住宅市場は「借手市場」で、ごく一部の人気物件を除けば更新料を増額できるような状態ではない。
むしろ、更新を機に賃料を下げたり、フリーレント(家賃無料)期間を設けて居住を継続してもらったりするケースがあるほどだという。
更新料のみならず、「礼金や敷金も不透明」という批判が高まっていたが、こうした貸し手が優位な時代に作られた慣習も変わりつつある。たとえば、日本賃貸住宅管理協会は昨年から会員企業へ「めやす賃料」の表示を呼びかけている。これは、更新料、礼金、敷金などのコストを勘案した実際の月額賃料。不動産ポータルサイト最大手の「ホームズ」も、めやす賃料の掲載を開始した。
更新料は有効との判決は出たものの、不動産業界、貸し主ともに、更新料は消える方向で態勢を整えつつある。
|